大東亞戰争開始以来の一般被害の概況

 







昭和20年(1945年)9月23日午前10時、山崎巖内務大臣は宮中に参内、昭和天皇に「大東亜戦争開始以来の空襲に因る一般被害状況」を奏上、同午後1時その概況を発表した。


防空總本部(九月二十三日午後一時發表)

大東亞戰争開始以来の一般被害の概況

  
死者 約二十六萬名
傷者 約四十二萬名
家屋の全焼全壊 約二百二十一萬戸
家屋の半焼半壊 約九萬戸
罹災者 約九百二十萬名(死傷者を含まず)
の見込みなり。



 

 

 

 

次に比較的大なる空襲被害を受けざる府縣は秋田、山形、石川、長野、滋賀、京都、奈良、島根、鳥取の九府縣のみなり。
なほ市制施行地(沖縄樺太を除き二〇六都市)にして比較的大なる被害を受けたる都市は帝都外八一都市に及び、都市戸數の約三割は焼失又は損壊せり。
都府縣廳々舎の焼失せるものは東京、兵庫、岡山、鹿児島、熊本、徳島、高知、香川、大分、福岡、青森、廣島、長崎十三府縣に及ぶ、縣廳所在地の都市にして大なる被害受けざりしものは十六都市に過ぎず(札幌、盛岡、秋田、山形、福島、浦和、新潟、金沢、長野、大津、京都、奈良、鳥取、島根、山口、宮崎)

防空総本部の調査にして空襲により街の大半以上を焼失または損壊せる大中都市は左記四十四都市である(千葉市程度のものは除去してある)
青森、水戸、日立、宇都宮、前橋、東京、八王寺、横濱、川崎、平塚、長岡、富山、福井、敦賀、甲府、岐阜、静岡、濱松、沼津、清水、名古屋、豊橋、岡崎、津、四日市、宇治山田、桑名、大阪、神戸、姫路、尼崎、明石、西宮、和歌山、岡山、廣島、福山、徳島、高知、高松、松山、長崎、熊本、鹿児島である 

 


全国空襲被害調査表


  投下弾      人的被害          建造物被害           山林火災

廳府県 

  爆弾  焼夷弾   死者   重傷   軽傷   全焼  半焼  全壊  半壊
北海道   428      1276    518    324    4802    19   831  1189  
東京 11436 429380  93781  19597  51469  756815  3050  4021  5163  
京都   277   3516    227    203    367      77    20   120   240    7
大阪   767  67666  16084  17179  18626  352713  4993  8218  7343  
神奈川  6970 568377   6024   2926  13269  143934   460   990  1302    6
兵庫  8011 347106  12205   6317  16588  180345  2478  6787  6924

 

長崎  5530  20376  21351  25052    932   24693   160  3112  4805   27
新潟    30      869    412   1712   11325    78    11    10  
埼玉  2241  40524    528    180    888    5422    97   163   249  
群馬  2884 301234    974    484    971   14338   179   288   489  
千葉  6047  95453   1438    774    995   20876   285   304   565  
茨城  3012 220089   1789   1130   1257   26878   255   965  1231   
栃木   323   9727    668    338    996   10742   118   401   130  
奈良     3033     73     86    156      89    33    11     7    5
三重  3003 111181   3067   2588   1637   35662    96  1788  1778   14
愛知 10766 993626  11279   5706  14827  159334  4748  9046  9711    7
静岡  7327 459856   5679   2211   9178   70552  1811  4484  6434  
山梨   121  48409    930    363   1031   18485   191     29    11    4
滋賀   327   2554     59     51    184      34     6    16    25  
岐阜   696 402393   1233    324    981   26133   357   385   923  
長野    26    798     37     35     19      78      30    50  
宮城  1119   1951   1173   1900      9    3328   319     65    93  
福島  1926   7027    499    257    301    1268    67   241   351  
岩手  6700   3390    728    452    229    4250    79   556   988   30
青森  7157  52307   1494    240

   367

  15577    17   266   387  
山形   180       78     25     41      84    15     4    14  
秋田  1353      123     46     77      38      56    87  
福井    30     1737      43   1825   25681       6    21   
石川    27      8      4     60          42   255  
富山     8     1232    456   3390   22766    25     2    23  
鳥取    42      5     80     61     31      29         7  
島根    90       52     32     58       3        
岡山  1262  50670   1758    351    671   25752   504    14    25  
広島   885 170114  70631  19942  91504   88195  2460  7337  4484   44
山口  2889 136073   3797    923   2739   18683   891   765   930  
和歌山  1285   4113   1932   1903   3633   28026    71  1220  1048   20
徳島   195   6100   1144    371    568   18026    82   233   271  
香川     1      1   1352    224    630   15982   292    48   127  
愛媛   452     10   1217    520   1183   27845   194   394   607  
高知   500   4036    584    161    735   11902   167   231   490    1
福岡  2676  77116   4625   2389   2622   49534  3745   767   876    7
大分  2344   6403    564    363    547    2854   304   437   915   10
佐賀      317    221     18    132     703    18   156    91    5
熊本  1992  57272   1301    753   1122   13738   139   381   198    1
宮崎  6386  10996    685    249    544    8109    82   920  1391    7
鹿児島  4404  60147   2682   1435   1824   51401   729  2492  1736  
沖縄                    
合計 17156 476004 279994 109981 251194 2306397 30703 58631 64013  315




空襲被害は各道府県知事から内務省警保局、同防空総本部に逐次報告されていた。昭和17年4月18日本土初空襲以来の被害報告を集計して、内務省は昭和天皇に報告した。報告は、投下爆弾・焼夷弾数を1桁にいたるまで記述してはいるが、その算出根拠は不明である。また、調査主体が内務省であることから、疎開・勤労動員等による他都府県での被害、軍属を含む軍被害や移入労務者(いわゆる強制連行者)等の被害は除外されているものと推定される。人的被害、建物被害とも「少なくとも」の最低限の数字である。そして、その数字のひとつひとつが名前を持った人間であった。

なお、全国空襲被害調査表、 市制施行地別空襲被害調査表とも「昭和21年4月 敵機搭乗員ニ關スル戦争裁判弁護資料(案) 第一復員局法務調査部第四科」から合計数も含めそのまま引用した。



〇市制施行地別空襲被害調査表


〇空襲による焼失旧国宝建造物 (日本空襲では尊い人命の他、かけがえのない多くの文化財も失われました。)

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