大本營發表(昭和十九年十月十九日十七時三十分)
一、輸送船團を伴へる敵艦隊は十月十七日比島レイテ灣に侵入同十八日午後以降同灣沿岸に對し砲爆撃を実施中なり二、同方面の我部隊は海陸協同之を邀撃中なり
我部隊は十月十二日以降連日連夜台灣及「ルソン」東方海面の敵機動部隊を猛攻し其の過半の兵力を壊滅して之を潰走せしめたり
(一)我方の収めたる戰果綜合次の如し 轟撃沈
航空母艦 十一隻 戰艦 篋碁埆 巡洋艦 筝蛾埆 巡洋艦若は驅逐艦 一隻 撃破
航空母艦 八隻 戰艦 篋碁埆 巡洋艦 蝗幃埆 巡洋艦若は驅逐艦 一隻 艦種不詳 十三隻 其の他火焔火柱を認めたるもの十二を下らず 撃墜
百二十機(基地に於ける撃墜を含まず) (二)我方の損害 飛行機未歸還 三百十二機 (註)本戰鬪を台灣沖航空戰と呼稱す
実際の台湾沖航空戦におけるアメリカ軍の損害は、空母フランクリン、ハンコック、重巡キャンベラ、軽巡ヒューストン、リノー、駆逐艦キャッシン・ヤングが損傷を受けただけで、沈没は1隻もなかった。多くの搭乗員が戦闘の経験がなく、海面に墜落して炎上した味方機を敵艦撃沈と報告したため、戦果が膨大なものとなった。大本営海軍部は実際には殆ど戦果がなかったという事実を陸軍にも政府にも伝えず、国民は久しぶりの大勝利に酔いしれた。
10月19日レイテ島沖で航空攻撃により護衛空母サンガモン、救難艦プレザーバー、沿岸砲により駆逐艦オーリックに損傷を与えた。